焼き過ぎなハラミ

焼き肉屋で食事をする男女は、
既に深い仲だとか、よく言うけれど、
自分の隣りの人とは、幸か不幸か、
そーゆー関係ではないのだよ。

もぅかれこれ15年来の付き合いになる彼女。
昨年、偶然にも自分家の近所に事務所を
かまえた事がきっかけで、
部屋で一人やさぐれている自分を
たまに食事に誘い出してくれる。

よく言えば、天の岩戸に引き籠もった
アマテラスを外に誘い出す『アメノウズメ』。
しかし彼女は『アメノウズメ』のような
裸踊りももちろんしないし、
こちらはこちらで誘い出された代償として、
食事中ずっと彼女の仕事やプライベートの
グチを聞かされるのだよ。
まぁ、ポジティブな性格ゆえか、そのグチも
おもしろ可笑しく話してくれるおかげで、
聞く側のこちらも苦にはならないのだけれど。

しかしなんだね。
自分にとっての本当のアメノウズメは
いったい何処に居るんだろうね_______。

「ナニいい歳こいて妄想語ってんの?
 それよりコレもぅ焼けてるわよ。早く食べなさいよ。」
彼女の肘鉄ひとつで一気に現実に
引き戻された後につまむ、
焼き過ぎたハラミの味が少しだけ苦いのは、
なにも『焦げ』だけのせいではないのだよ。

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