忘却の果て

ある日こんな夢を見たのだよ。

気がつけば自分は宇宙船の窓から、
少しずつ小さくなってゆく地球を眺めながら、
これから始まる長い宇宙旅行への期待に
胸踊らせていたのだけれど。

次の瞬間、ふと思ったのだよ。
「あっ、自分はまだ地球に住む知り合いの
 誰一人にも、自分がこれから宇宙旅行に
 出かける事を知らせていなかった。」と。

その後に、言いようもない淋しさと悔しさが溢れ、
地球が映るその窓をドンドン叩いて泣いたのだよ。
この宇宙旅行が「二度と地球には戻れない旅」だと、
最初から知っていたから。

「サヨナラ」も満足に出来ないままの永遠の別れと、
他人から自分自身の存在自体を忘れ去られるという事が、
こんなにも淋しい事だったとは_________。
目覚めてから、不覚にも濡らしてしまった頬を
枕にゴシゴシこすりつけながら、そう思った。

誰かを思い出すという事。
それは記憶を持ち得る者が出来る
最低限の「つながり」なのかもしれない。
生きている人にとっても
亡くなった人にとっても。

だから自分は、たとえ毎日でなくても、
ちょっとした時に、少しだけ思い出すのだよ。
あの人の事やこの人の事。

そしてアナタの事を_____________。

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