夜に紛れて

新宿2丁目に初めて足を踏み入れたのは、
19歳の頃で、そのきっかけは故はらたいら氏に
連れられてだった。

当時ウブだった自分は、その怪しげで淫靡な界隈を
行き来する全ての人々が同性愛者に見えて
(↑この時点で間違ってるだろ)、
きっと自分が隙を見せようものなら、さらわれて、
チンチンもお尻もあんな事やこんな事されてしまう、
そんな勘違いな恐怖心で、片時もたいらさんの傍を
離れる事が出来なかった。今思えば、逆にこちらが
ホモカップルに見えたかもしれない。

現在ではニューハーフや旧ハーフの友人知人も増え、
彼ら(彼女ら)のおかげで、たくさんの事を学び、
肉体関係は無いものの、心と心のお付き合いを
させてもらっている。

よく新宿2丁目未経験の人達に、
「行ってみたいけれど、危なくないですか?」と、
以前の自分が思っていたのと同じような質問をされる。
その度に自分は
「男性は時々はその筋の同性に
 ジロジロ見られたりもするけど、
 女性にとってはある意味安全な街なんじゃない?」
と、答えてきた。

けれど、最近の新宿2丁目は何処かガラの悪い若者が
目立ち、昔のような『文化とアイデアの発信地』たる
匂いを失いかけている危惧さえ感じる。

と、その若者達から見れば、自分の方こそ
『ガラの悪いオッサン』な自分の風体を棚に上げ、
今夜も新宿2丁目の夜に紛れ込む_________。