トワイライトゾーン

その中古ソフト販売店の5階は中古フィギアを扱うフロアで、
自分は何気に「仮面ライダーXのミニフィギアでもあれば、
買って帰ろうかなぁ。」ぐらいの気持ちで、
先にエレベーターに乗り込んだ先客に続いて、
そのエレベーターに足を踏み入れてしまったわけだけれど__。

「これ、キングジョー。知ってる?キングジョー。
 ウルトラゼブンの怪獣。知ってる?神戸で・・・。知ってる?」

カバンからキングジョーのミニフィギアを取り出して、
まるで旧知の友に話すかのようなフレンドリーな口調で、けれど、
カチンと何かのスイッチが入った異様な目つきで説明をし始める、
シャツのボタンを一番上までキッチリ留めた先客。

「あ、あぁ・・・。キ、キングジョーね。セブンのヤツね。知ってる。
『神戸で』は知らんけど。」
(殴りてぇー。でもここでトラブル起こすわけにもいかんしなぁ。)

「じゃあ、これ知ってる?カネゴン。ウルトラQに出てきた怪獣。
 知ってる? 神戸で・・・。知ってる?」
別のフィギアをカバンから取り出し説明をする妙に鼻息の荒い先客。

「カ、カネゴンね・・・。知ってるよ。
 やっぱり『神戸で』は知らんけど・・・。」
(いきなり刺されたりせんよなぁ。早く5階着かんかなぁ。)

エレベーターが5階に到着。
自分が足早にエレベーターを降りたその後も、彼はしばらくの間、
自分の傍にぴったりとくっつくようにして、陳列棚に吊された
それぞれのフィギア達の説明をしてくれていたのだけれど、
あまり興味を示さない(というか、軽く無視していた)こちらに
飽きてしまったのか、自分の目的のフィギアを手に取ると、
競歩のようなスピードでレジに向かい、女性販売スタッフに
商品についての幾つかのこだわりの質問を浴びせた後、会計を済ませ、
再び競歩のようなスピードでエレベーターの方に姿を消した。

_________________泣くほど怖かった。

右から仮面ライダーストロンガー、アマゾン、X(エックス)、
V3(ブイスリー)、ライダーマン
後ろ右から仮面ライダー1号、2号

日記