臭い臭い

伊平屋島の特産物が入ったその箱を届けてくれた
郵便屋さんも、玄関先で苦笑いしていたほど、
ガムテープで密封されているはずの発砲スチロー
ル製の箱全体から有り難〜い匂いがプンプンと
香っていたのだよ。

このまま燃えないゴミの日に捨ててしまおーか
とも思ったのだけれど、せっかく島の友人が
送ってくれた物だしそーゆーわけにもいかないので、
恐る恐るガムテープを剥がして蓋を開けたら・・・。

プワワワワ〜〜〜ン。
目にしみるような匂いがアラジンの魔法のランプの
煙のように立ちのぼった。小さな生き物だったら
殺せそうなほどのその匂い。原因は密封袋の口が
開いて箱の中にこぼれ出ていた『島らっきょう』。
涙目になりながら、大急ぎで部屋のありとあらゆ
る窓を開け放ち、島らっきょう(塩漬け)の入った
密封袋数袋を冷蔵庫に隔離した。

次に、同梱されていた泡盛や貝のウニ漬けの瓶、
モズクの袋、アコヤ貝で作ったアクセサリー、
黒糖菓子の袋、貝砂の袋などなどのすべての表面に
染みついた島らっきょうの匂いを水で洗い流したり、
消臭剤をふりかけたりしたのだけれど、事態は変わらず。

窓を開け放って10時間近くが経つも、未だにこの
部屋の空気のそのほとんどを占める島らっきょうの匂い。
「残り香でこれほどだったら・・・。」
キッチンの傍らで息を潜める冷蔵庫をみつめては、
これから先の事が思いやられ、
ため息ばかりが出てしまう深夜2時______。