星降るバー

夕食を済ませた後、バンガローへの帰り道にある
海岸沿いの青空バーへ立ち寄るのが日課になりつつある。

昨夜はこのバーにたまたま来ていた島の知人の紹介で、
この島に遊びに来ていたマレーシアでは結構有名な
シンガーと知り合い(しかし名前を忘れてしまったのだよ)、
ギター片手に互いに持ち歌を歌い合ったり、
即興でセッション等を楽しんだ。
翌朝早くには彼ら一行は島を出てK.Lに戻るらしく、
ボクは楽しい時間を過ごせた礼に、彼にヘンシモのCDをプレゼントした。
喜んだ彼は「ツカサ。この曲カバーしてもいいか?」と
言ってはくれたものの、著作権法が浸透していないこの国では、
それはカバーというよりも「盗作してもいいか?」と
聞いているのと同じなわけで・・・。

昨夜、ボクと彼の歌をうっとりした瞳で聴いていた
とびきり可愛い台湾ガールも、ヤキモチ焼きのイタリア人彼氏と共に
この島を出たらしく、その姿はどこにも見あたらない。

星降るバーでは今夜も、タイガービールと
クオリティの低いガンジャを売りさばく店員たち、
そしてそれらを消費しながらまったりとした夜を過ごす男達からの
「スローなヤツをやってくれ。」というリクエストに応えた
ボクの歌声とアコースティックギターの音色が
潮風に乗って闇に溶けてゆく_________________。

↑彼はシンガーではなく、島民です。