再発!?

左足首付近の水泡がおさまりつつあったのに、
左足ふくらはぎに一カ所、そして左手首付近に一カ所、
水泡が出来てしまった。痒いし痛い。
メルシンの病院で手に入れた薬も効かないようだ。
何故毎回こっちに来る度にこんな症状になるのだろう。
蚊やダニは日本にもいるのに、いったい何の虫に刺されると
ここまで立派な水泡になるのか、さっぱり解らない。
しかも今回は左ばっかり。
この『左』というキーワードは何を意味するのだろう。
そんなミステリー的な事をも考えたくなるほどの立派な水泡。
何度も言うが、痒いし痛いのだよ。

此処チェラティン村に医療施設があるのかどうかも分からないし、
クアンタンまで戻るのもなんだか悔しいしで、
とりあえず明日の朝にはここを出て、次の目的地である
クアラ・トレンガヌで病院に行こうと心に決める。

日が暮れてからの水シャワーはとっても寒いので、
散歩から帰って来た夕方にシャワーを浴びる。
ん?お湯出るじゃんか。なんで?
しかもよりによって最終日に出ることないのに。
中途半端なマネしやがって。
オトコならそのまま最後まで壊れとけっ!!
と、シャワーに八つ当たり。
外は降り出した雨がさらにその雨あしを強めていた____。

真夜中。パジャマの腰の辺りがやけに冷たくて目を覚ます。
自分の腰を手で触ってみると、濡れている。

え?おねしょ!? この歳でやっちゃった!?

慌ててベッドから飛び起き、部屋の灯りをつけ、
その付近を見てみると、ベッドシーツと掛け布団の一部が
グッショリと濡れていて、その上を見上げると、
天井に出来た染みの隅っこから水滴が生まれては落ちてきている。
雨漏り。しかし受け皿なんて物はないので、部屋にあったゴミ箱を
ベッドのその部分に置き、パジャマのズボンとパンツを着替え、
部屋の灯りを消した後、すぐ隣のベッドに移動し再び横になった。

再び暗闇に戻った部屋の中、屋根を叩く激しい雨音に混じって、
ゴミ箱に捨ててあった空のペットボトルが
「タッ・・・、タッ・・・、タッ・・・。」と一定のリズムで
その湿った音を鳴らし続けているチェラティン村での最後の夜___。