心地良い午後

「11年振りなら、セントラル・マーケットでも見てくれば?
 あそこも昔とはずいぶん変わってるよ。」

ホテルのスタッフに促されるまま、丁度おやつを食べに行く
ついででもあったので、セントラル・マーケットまで。
途中、州立モスクの脇を通りながら、青空に突き刺さるような
真っ白いモスクやクアラ・トレンガヌの街並みを
携帯電話のカメラに納めながら歩いてゆく。

昔のそれとは様変わりしたセントラル・マーケットの片隅で、
山積みにされたみかんを売る男性や、お菓子や乾物を説明しながら
売る売り子さんに承諾を得てはカメラで撮影して歩いた。
「ちゃんと撮れたか?(笑)」
「アラ。買って行ってくれないの?(笑)」
誰もが笑顔を返してくれる。

セントラル・マーケットを後にして、帰りはチャイナタウンを通り、
軽い迷子になりながらも、見覚えのあるバスステーションの横に出た。
通りを歩いてホテルの前まで戻って来た時に、クリニックの外で、
携帯電話で誰かと話している看護師の女の子と目が合う。
何度もクリニックに足を運んだボクの事を覚えていてくれたらしく、
ニッコリと微笑んでくれたので、こちらも電話の邪魔にならない程度の
笑顔を返した。
空の青、吹く風、人々の笑顔。
11年前もそうだったけれど、此処クアラ・トレンガヌは
なんとなく居心地の良い町だ。

おやつを食べる店探しをすっかり忘れてホテルに戻った。