爆破テロの町で

スンガイコーロクの街中にあるメルリンホテルに宿泊。
1泊41RM(約1230円)
クィーンサイズベッド、エアコン、ホットシャワー、TV、冷蔵庫等々、
この旅の最中、今までに泊まったホテルの中で一番綺麗で清潔だ。
あぁ、これで虫におびえる夜とも、病院や薬局に足繁く通う日々とも、
しばらくの間おさらば出来る。万歳!!タイランド!!

昼食は、ホテル近くのマレー食堂。
ナシ・カンビン(山羊肉カレーとご飯:3RM=約90円)を食べ、
コピ・オー・アイス(ミルク無し砂糖入りアイスコーヒー:1RM=約30円)
飲みながら、サリーをまとったイスラム教徒の女性と、ミニスカートで
バイクにまたがるタイ人の女の子たちが混在する、その不思議な風景を
眺める。
ここスンガイコーロクは、「国境の町」というだけあって、
マレー語も通じる上、全部の店でというわけではないけれど、
マレーシア通貨であるリンギットでの支払いも可能。
「売春で成り立つ町」という汚名はあるけれど、
そのおかげかどうか、道行く女の子は可愛らしいし、
自分の泊まっているホテルの受付嬢の笑顔は素敵だし、
テロさえなければさぞかし過ごしやすかろうに、テロさえなければ

夕食は、ホテルと交差点を挟んだ向かいの食堂で
豚の角煮とご飯(5RM=約150円)
コピ・オー・アイス(1RM=約30円)を注文。
夕食を食べている最中、店の前の交差点に大型ジープが停まり、
後部の荷台から小銃を脇にかかえた治安部隊らしき隊員が数名、
素早い動きで降りてきた。
その中の1人は両手に『爆弾探査機』のような機械を持ち、
機械の先を周囲に振りながら、慎重にゆっくりと、一瞬にして封鎖された
その道の真ん中を歩いてゆく。
その隊員の周囲には、常に体を外側に向け、
「いつでも撃てまっせ。」
と、小銃の引き金に指をかけた治安部隊員たちが、
中央の隊員を囲むカタチを保ったまま、周囲の様子を窺っている。
そんなピリピリとした空気を放つ彼らの周り、
封鎖された道の脇では、赤、紫、黄色といった原色のランプが連なる
バーの軒先で、肌を晒したオンナたちが客待ちをしている。
彼女らのけたたましい笑い声と、
氷のように冷たい表情を崩そうとしない治安部隊員たちの緊張感。
対照的なそのふたつが奇妙に混じり合う、そんな満月の夜。

食後、店を出て、昼間少しだけ顔見知りになったバイクタクシーの
男たちが客待ちをしている詰め所のような場所に向かう。
「よぅ。オンナ要るかぃ?」
「要らないよ(笑)。ところで、爆破テロってこの町の何処であったの?」
そこ。ホラ、コンクリートの壁が崩れてるだろ?
 バイクも8台くらい燃えちゃって、大変だったぜ。」
男の1人が、ボクたちの場所から10mほどしか離れていない、
道の斜向かいを指さした。
「ほ、ほぉ〜・・・。そ、そうかぁ〜(汗)。」
平常心を装いながら、彼らに別れを告げて足早にホテルに戻った。

只今、深夜12:30。何か飲み物が飲みたくて仕方ないのだけれど、
コンビニエンス・ストアはすぐ近くにあるのだけれど、
やっぱり怖くてホテルを出られないでいるのだよ_______。