道草ワインデイング・ロード

どんなに疲れていようと、毎夜、村から定宿のあるビーチまで、
片道だけで30分弱はかかるその道を、文句のひとつも言わず
バイクで送ってくれる優しい男ノンさん。
けれど帰り道に知り合いの顔を見つけては、
そこで長い時間話し込んだり、真っ暗な海岸で
いつ上がってくるかも分からぬ地引き網漁を意味もなく
見学してみたりするので、今まで一度たりとも
30分で帰れた試しがない。
ボクの方も彼にわざわざ送ってもらっている立場なので、
「早く帰ろうや。」ともなかなか言えず。
そして今夜も_____________________。

「おっ、開いてる。」
バイクを止めて彼と入って行く散髪屋。
「旧正月も近いし、小綺麗にしとかんと。」

店の主人と他愛も無い世間話をしながら髪を切ってもらう
ノンさんの様子を待合椅子に座って眺める事30分。
店を出て再びバイクにまたがっての帰り道。
どれだけ小綺麗にしようが、彼のトレードマークというか、
こだわりというか、そんな「ジャンボ尾崎より長い襟足」が
夜風にたなびいて、後部座席のボクの鼻の穴をくすぐる。
「ヘックシュン!」
「どうした?ツカサ、風邪か?
 よし、あそこの店で温かい物でも飲んで行こう。」

解ってはいたけれど、
今夜も真っ直ぐ帰れそうにない。ま、いっか_______。

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