喰える魚と喰えん魚

日中、再び島の穴場スポットでシュノーケリングを楽しんだ後、
昨日までのリベンジを果たすべく田名の漁港で釣りをする。
イカの切り身をエサに、2号のオモリを付けただけのシンプルな
仕掛けで岩礁の穴を狙うと、イシミーバイが釣れた。
よし、まずは1匹! と、顔を上げると、向こうから友人Fが、
昨日折ってしまってその丈が半分になったショートスケールの
竿を片手にこちらにやって来る。

「こんなん釣れた。」
友人Fのもう片方の手から伸びる釣り糸の先に、
紅色のグラデーションが鮮やかな魚がぶら下がっている。
「やった!!」とか「おぉ! 釣れた!!」ぐらいに喜びを素直に表せん
もんかねコイツは。

「これ喰えるかえ?」
と、普段と同様に冷静を装い、いつもと同様、台本に書かれた
台詞を棒読みするような口調でこちらに聞いてくる友人F。
彼と同じ口調で言葉を返してやる。
「ソレハ、クエン。」

最終的に、全部で良型のイシミーバイ2匹、小型2匹、
それとトラギス1匹を釣り上げる。
その内のイシミーバイ1匹とトラギス1匹は、友人Fの
「短すぎて竿に見えない竿」に釣られた、ある意味可哀想な2匹。

こういう釣れた時に限って写真を撮ってくれようともしない
仲間達の薄情さと、すっかり西に傾いた太陽の日差しが
焼けた素肌にヒリヒリしみる帰り道____________。