楽しみが減ったよ

「痛かったですよね?」
時折手元を狂わせる度にこちらに聞いてくる彼女のその声が、
何処か楽しんでいるように聞こえる閉じた瞼の裏側。
本当は痛いのに「大丈夫です。」と強がってみせるも、
開けたままの口では「だいひょうふへふ。」としか言えず、
滑稽極まりない自分。
月に一度、歯医者の診察台の上で互いの潜在意識の底に潜む
サディズムとマゾヒズムを楽しんでいた1時間の妄想劇を
思い出しながら、楽しみがまたひとつ減った事を嘆く水曜日。

先月一杯で歯医者を辞めて郷里に帰った
可愛い歯科衛生士さんから届いたお礼のハガキを眺めながら___。

日記