イルカの記憶

沖縄・伊平屋島2011-4日目-

灯台裏の潮ヶ浜。
鼓膜の塞がりきらぬ左耳に海水が入らないよう、
粘土質の耳栓をコネコネと丁寧に詰めてから、
リーフの際に出来たその紺碧の裂け目にザブンと入る。

水面から約15m程の海底まで、真っ直ぐに差し込む光のカーテンの
ヒダを縫うように群れ泳ぐ魚たちと、
その背後に広がる蒼のグラデーションの世界。
毎回の事ながら胸のずっと奥の方で、
輪郭さえあやふやな遠き昔の「懐かしさ」が疼く。
その世界の上辺のみでプカプカ浮いている事ぐらいしか
出来ない今の自分がはがゆいくらいに。

何だろうね、この感覚は。
けれど、これが味わいたいが為に、毎年ボクはこの海に
戻ってきているのかもしれないけれど________。