『匂い』は大切さ

夜。芝居の稽古。
中年オヤジのポンコツ脳みそに、すんなりと台詞が
入っていってくれるはずもなく、まだまだ台本が手放せない。
にもかかわらず、細かいディティールを追求しようとする自分に、
「コイツは自分の事ばかりだから。」と、御大つのだ☆ひろ氏の
お小言が飛ぶ。
寂しいぜぇ〜つのだのオジキぃ〜〜〜。
仮にオイラが自分の事ばかり考えているとしたら、
そもそもミュージシャン履歴に書けるはずもない【全身タイツの犬】の役など、
誰が最初から喜んで引き受けようか。
と、ひねくれてみても台詞覚えてないんじゃ反論すら出来ないわな、ちくしょ。
ま、ワン フォー オールで頑張りますよ、犬だけに。

稽古終了後は、6日「しば魂」の為の、henssimo恒例「深夜リハーサル」。
各自のスケジュールの都合上、1回限りのリハーサルにもかかわらず、
さすがはhenssimo。肝心の通しリハーサルそっちのけで、当日会場に
来てくれる大半のお客さんにはたぶん解らないであろう部分を
あーでもないこーでもないと、まるで「つけ麺のスープ」の中の魚粉の
グラム数にこだわる職人のように、オツムの賢い人からすればそれは
一見無駄な時間にしか思えないであろう事への労力を一寸たりとも
惜しまないhenssimoメンバー。
それが自分たちのオリジナル曲ならまだしも、某バンドのカバー曲を、
再びつけ麺に例えるなら、まるで遠い昔に他所の店で食べた「つけ麺」の
匂いを自分の店で限りなく再現しようと、何度も作っては捨て作っては
捨てを繰り返すかのような練習に夢中になる我ら4人。
オマエらのオリジナリティの追求に時間を費やせよ、と思われる方も当然
いらっしゃるだろう。いや、ほとんどの人がそう思うかもしれない。

しかしだ_______。
もしも自分がそのバンドやその曲が大好きなファンだとして、
他のバンドがどれだけ上手にそのカバー曲を演奏&歌唱出来たとしても、
その曲が元来持ちうる肝心の『匂い』が消え失せていたとしたら、
やっぱりガッカリするもん。

とゆーことで6日のステージはオリジナル曲数曲に混じり、
今年の6月に亡くなったボクの幼なじみのために、1曲だけ、
ボクとソイツが大好きだったバンドのカバー曲をソイツの為だけに、
込めて唄います。
これはまさしく「自分の事だけの時間」。
なのでもし良かったら、当日少しだけボクだけの時間
御仏のお心でお付き合い願いまする。

そして出逢いと別れの間に生まれるモノを頭の隅っこで考えながら、
美味しいお酒と音楽に酔いしれてやっておくんなさいまし______。