画に教えられるコト

痛風で痛む右足を引き摺りながら、
それでもなんとか16日に引っ越しを済ませ、
部屋のあちらこちらに段ボール箱とゴミの山脈が
そびえ立つ隙間に出来た猫の額ほどの平野に
腰を据えながら、さてどれから片付ければいいものかと、
途方に暮れる暇もなく、次から次へと届く宅配物の
応対やらご近所さんへの挨拶回りやら、
前の部屋の掃除に出かけたり、
はたまた愛機Macが起動しなくなった事への修復作業に
朝から追われたりで、寝不足気味の日々が未だ続く中、
ワイルドミュージックスクールのスクールライブに
ギター一本弾き語りで参加。久々に初心に帰れた気がするよ。
いやいや、テクニックの話ではなく(汗)。

スクールライブ終了後、外で打ち合わせを済ませ午後0時帰宅。
新居のドアを開け、今は亡き父親がしていたのとまったく同じ
長いため息をつきながら靴を脱ぎ、リビングへ向かうボクを
迎えてくれる一枚の絵。

「郵便配達夫」洋画家・佐伯祐三氏が床にふせがちな晩年に画いた作品。
もちろん本物は大阪市立近代美術館所蔵となっていて、
これは複製で、此処でも度々出てくる四国の御仁が、
「幸せが届きますように」という意を込めて、
引っ越し祝いに送ってくれた物。
引っ越し当日に真っ先に飾ったこの画を、東京まで彼が
見に来てくれれば良いのだけれど、その彼もどうやら床に
伏せりがちな日が多いらしく、また、この画を調べるにつけ、
その他の意もあってこの画を選んだのではないかと勘ぐって
しまって、なんだか寂しく見える時もある。
それでもやはり、長い長いため息をつきながら帰って来る日も、
眉間に皺を寄せて帰って来る日も、リビングの一歩手前で
優しい気分になれそうな気がするのだよ。
幸せを届けてくれるのはなにも他人ばかりではなく、
まず「自分自身」でなければと教えてくれる一枚______。

日記