冬がやってきましたよ

お腹が空いたので冷蔵庫を開けると見事なくらいに空っぽで、
だったら外へ食べに行くさと、部屋着の上に上着を羽織った
完全に近所のコンビニに行くような格好で玄関を出ると
この日初めて出たオンモは思った以上に寒く、うーんだったら
温かいラーメンかもしくは熱々の炒飯と餃子が食べたい、と
その足で新宿2丁目へ。

先月閉店した新宿2丁目の隠れ家"姫"の下の階のラーメン屋で、
先月までと同じようにラーメンと餃子を食べている最中、
隣の客とママが話す"酉の市"の話題が耳に入ってきて、
そう言えば今年は三の酉まであるんだよな、と今夜と明日が
最後の"おとりさま"の様子を見に、2丁目からそれほど遠くない
花園神社まで足を延ばす。

甘い匂いやソースの匂い。
美味しそうな匂いを放つ露店が立ち並ぶ参道を抜け境内へ。
酉の市だけで毎年60万人が訪れるというのが納得出来るほどの
人でごった返す神社の境内のあちこちで見受けられる、
ボクの好きな昭和の時代の面影をそこだけ切り取って貼り付けた、
もっと解りやすく言うと、かつての任侠映画のスクリーンから
そのまま飛び出してきたかのような格好のオジさんたちの姿も
含めて、これから師走を迎える新宿・冬の風物詩。
なにはともあれ、無用なトラブルを起こさぬよう境内を散策すると__。

威勢の良い三本締めが熊手を売るあちこちの露店から聞こえてくる。
三本締めの輪の中心には商売繁盛の熊手を担いだお客の姿。
本来、飲食店などは毎年同じ露天商から熊手を買うのが習わし
というかややこしい大人の事情なのだけれど、そこで毎年新宿
2丁目"姫"のマスターが熊手を買っていた店を探してみるも、
いかんせん大切な事への記憶力が欠けている自分には肝心の
露天商の名前が思い出せない。店の壁に飾ってあった熊手の特徴や、
熊手の柄の部分に貼ってあった露天商の名前を思い出す事さえ
出来ればと、寒空の下で小一時間ほど粘ってみたものの、結局は
マスターの笑顔しか思い出せず断念したのだよ。

すっかり冷えた体を、花園神社のすぐ先の新宿ゴールデン街で
たっぷりと温めた後、再び花園神社の脇を通り抜け、来た道を戻る。
まぁ柄も治安も良くなかったり、人の欲や業が渦巻く街だったりする
けれど、自分には何故か居心地が良い街なんだよなぁ、と、そんな
事を思いながら自宅へ帰るボクの手には、ベビーカステラと大判焼き____。