最後の切り札

ある晩にはエリック・クラプトンのTears In Heavenを唄い、
イングランド人の夫妻から、
「アメイジング! アナタ喋るのは苦手なのに、歌の発音は凄くいいわね。」
と、褒められてんのか貶されてんのか解らない賛辞を頂き、
ある晩には酔っ払ったヨーロッパ人たちが踊る前でStand By Meを唄い、
ある晩には「照るしのウタ」や「ベリーベリー・イージーライダー」といった
自身のオリジナル曲をところどころマレー語に変えて唄い、
ホテルカリフォルニアがリクエストされれば、歌詞を覚えてなくても
どんなにキーが高くてもやっぱり唄う。

自分たちだけで盛り上がらない夜に限ってこちらに手招きしてくる
地元のミュージシャン。
彼らにとってボクは「困った時の代打」的な存在で、マレー人からすれば
“日本人ミュージシャン"という物珍しさも手伝いおのずと人は集まってくる。
それでもいまいち盛り上がらない夜だってそりゃたまにはあるけれど、
そんな時はこれを唄えば大合唱が起こるコトも覚えたよ。

アン♪アン♪アン♪ とっても大好きドラえーもんー♪

オイラのお陰でこの冷めた雰囲気をここまで盛り返してやったのに、
今夜も投げ銭の分け前無しかよっ、このケチ禿げカッパ!
ま、厳密に言うと、オイラのお陰というよりも
完全に"ドラえもん"のお陰なのだけれどね__________。