偽物に注意

「携帯電話買い換えたぞ! iphoneだ! iphone!」

電話の主は、マレーシア・パンコール島に住む親しい友人。
電話の向こうの彼の口調や、買い換えてすぐにわざわざ電話を
よこした事からも、彼の喜びはこちらにも十分すぎるほど伝わ
ってくるし、こちらはこちらで、やっとこれで日本から国際電話を
かけ直してやる必要もなく、"Skype"辺りのアプリケーションで
通話時間を気にする事もなく無料通話が出来るので助かる。
ところが_____________________。

その"Skype"が使えないと友人は言う。
もともとスマートフォンには詳しくない彼の為に、
こちらがダウンロードから携帯電話へのインストールまでの
手順を丁寧に教えてあげるのだけれどやはり出来ないらしい。
いやいや、一般的なiphoneなら簡単にインストール出来るはず。
で、試しに彼に問うてみた。
「そのアイフォン幾らだった?」
友人曰く「1万円ちょい。」
う〜ん、いくら物価が安いマレーシアで、仮に型落ちのiphoneでも
その値段では売ってないだろ。
念には念を入れ、彼の"iphone"らしき物の特徴をひとつひとつ
尋ねてみたのだけれど、聞けば聞くほどオリジナルのモノから
かけ離れてゆく。
それでも興奮混じりで説明を続ける彼の言葉を、
タオルの投げ込まれたリングの中央で、いまだ拳をふるおうと
し続けるボクサーにトレーナーが声をかけるかのような、
そんな優しい口調で遮る。

「落ち着いて聞け。たぶんそれアイポンだアイポン。」

ボクの電話料金が下がる日は果たしていつになるのやら____。