クリスマスを言い訳に

クリスマスに彼女と二人きりでデートをするという儀式的義務から
解放されてかれこれ20年ほどになる。
途中、その儀式・記念日を重視する女性とも出逢ったけれど、
「なんでクリスマス一緒に居てくれないのっ!?」と、半ばヒステリックに
責め立ててくるその女性に対し、
「ん? だって用事あるし。そもそもどうしてその日に限って
 一緒にいなきゃいけないの?」と、つい本音を言ってしまい、
夜も明けきらぬ真冬の4時に、背後からヒールの踵で蹴りを入れられた
事があり、ヒールの踵で蹴られると意外と痛いんだなぁなどと、
尾てい骨の少し上の方をズキズキさせながら、そのまま振り返りもせず
独りスタスタと家に帰った覚えがある。
いや、別に二人で過ごしてもいいとも思うのだよ。二人が本当に逢いた
いと思う時に。ただ、その気持ちよりも先に「クリスマス在りき」な所に
甚だ疑問を感じるだけの話である。

そんな事を独り宣いながら、某デパートの各売り場で彼氏彼女への
プレゼントを探す男子・女子たちを横目に、普段の自分では絶対手の
出せない金額が印字されたそのダウンジャケットの色違いをそれは
それは何度も何度も店員さんに詫びながら試着させて貰った挙げ句、
「こ、これは自分へのクリスマスプレゼントぢゃ。」と、そこだけは
クリスマスにちゃっかり背中を押させる金曜日_________。

日記