海と空と雲と

イカ釣り用の餌木をぶら下げた釣竿を予め乗せた、知り合いのボートを独りで勝手に波打ち際に押し出した後、船尻が波頭を越した瞬間、素早くそれに飛び乗りエンジンのスターターのロープを思いっきり引っ張る。ブロロロロ…。そのままアクセルを回し、海風と波にややもするとひっくり返りそうな小さいボートを不慣れな運転ながら転覆しないよう慎重にバランスを取りながら、少しうねりの出始めた夕方前の海原を、沖合に浮かぶ小島目指して独り進む。小さなボートの帆先が風と波にあおられる度に、不安になる自分を落ち着ける為、空を見上げる。
うん、大丈夫______。
上手く言えないけれど、この島はやっぱり居心地が良い_____________。