歩き過ぎて疲労骨折するかと思った二日間

おしくら饅頭状態の満員電車の中で身動きも取れず戸惑うマレー人観光客の彼らに、すぐ傍で同じく身動きの取れないボクがマレー語で言う。「これなら立ったまま寝られる、試してみ。」一瞬吹き出した後、相変わらずしかめっ面の周りの日本人たちの注目を浴び、恥ずかしそうにその場を取り繕う彼ら。
同じく次々に人が乗り込んでくる満員電車の中で、「これ以上押されたら、たぶんこのドアのステッカーみたいに貼り付いて、電車を降りる時にはペラペラになる。」だとか、ホント馬鹿馬鹿しい事を小声で言い続け、彼らの笑いと周囲の日本人からのひんしゅくを共に買いながらの東京観光案内も今日で最終日。

この二日間、彼らが行きたい場所すべてをあげてもらい、それらをいかに効率よく巡るかの計画を立て、時折トイレの心配をしてあげ、食事には必ず大量の七味が必要という事を学び、買い足らないお土産があれば、東南アジア人御用達店の○慶屋などに連れて行き、彼らを見送る新幹線のホームで最後の最後まで彼らを笑わせ続ける。

まーなんで自分はここまで、たった一度しか会った事のないマレー人の為にするのかというと、それはきっとたった一度だろうが旧知だろうが、せっかく日本に興味を持ってやって来てくれたのだから、初めての日本、東京旅行の思い出を少しでも楽しくしてあげたいという理由だけなのだよ。そりゃあ何処ぞの国からの観光客みたいに、札束で他人の頬を叩くような振る舞いで日本でのマナーも守らずツアーガイドを困らせる客とは経済力も違うので、1,000円のTシャツを買う事にも躊躇している彼らは、ツアーバスでなく満員電車にも乗らなければいけない。けれど、一生懸命貯めたお金で日本という国を選んでくれたのだから、こっちも存分に楽しませてあげたいし、何より日本をさらに好きになって欲しいもの。
と、ここまで書いて、なんだかマレーシア・パンコール島で知り合った日本人に対し、あれこれしてあげる自分となんら変わりない事に気づいたのだよ。ま、パンコール島では幾分雑な対応だけれども、現地人化しているので許せ。
なんにせよ、これがボク流のお・も・て・な・し___やだ言っちゃったよついに___。

日記