紡ぐ人の三回忌

その人は他人をからかう時も真剣に諭す時も、その頬に穏やかな笑みを浮かべ、常に最後は周りが笑顔で終われるような雰囲気を作り出す天才であった。反りが合わない人同士も何故かその人を中心に据えれば一緒の空間に居られて笑い合える、また、付き合った年数が長かろうが短かろうが分け隔て無くその笑顔はいつも平等であった。気配りの魔術師でもあり、その反面、自身の主張は自然に通していて、それに対して周りの誰もが納得をしていて、時にその技に気づいたボクなどが「ホント上手いね。」と言うと、わざと閉じた口元だけをニッとさせ、してやったりの笑顔を浮かべる姿に嫌味のカケラもなく、やっぱりボクらは笑い合っていた。

そんな彼の人と人との紡ぎ方をボクのような未熟者がすぐ真似出来るはずもなく、今でも彼の事を大好きだった仲間内でのボクは、彼の笑顔に守られていた頃と同じく我が儘で生意気な小僧である。たぶん彼が生きていれば、「ボクだってこれが正解かなんてわかんないよ。それにツカサはツカサの方法でやればいいのよ。」と、独特のオネェ言葉の交じった穏やかな口調で言うだろう。

Kさん、ホント化けてでもいいから困った時は出てきておくれ。
自宅のリビングの片隅で笑う彼の写真に手を合わせる2年目の命日___。