全然めでたくなんかない

いよいよ昨日から始まった魔の旧正月ウィーク。南北4.5km、東西2kmほどの小さな島に住んでいる島民だけでも6万5千人(公称)もいて、ただでさえパンパン気味な割りに普段のビーチが静かなのは、日焼けを嫌うマレー人気質に加え海に出る人の数は限られており、マリンスポーツ業、漁師、そして日焼け好きな旅行者ぐらいしかいないからであって、それが昨日1日だけでも2万人以上の観光客が入島していて、その全てが海で遊ぶのが目的なわけで、島のあらゆるビーチが人で埋め尽くされている。

普段ボクのいるニッパー・ビーチの浜辺も海岸通りも人、人、人だらけ。道路に溢れた人々のせいで道幅が狭くなったその間をピンク色のワゴンタクシーが次から次へと満杯の客を運び、その後ろには音だけがデカイ陳腐なバイクが長蛇の列をなしていたりして、それらが双方向に行き交うものだから、海岸通付近はそれらの騒音と、不燃焼気味の白い排気ガスで日中ずっと曇っている。

そのすぐ傍らのテントの下で客を引くボート屋のメンバー。海岸で客を引くという理由で浜辺に逃げる者が続出。かと言って、お客さんの履き物やゴーグル、シュノーケルなどが盗まれる畏れがあるので誰か1人はその場に居なくてはならず、毎年だいたいはボクが見張り役でその場に取り残されるので、今年はうまい具合に逃げてはいるのだけれど、やっぱり見張り役になる場面も多く、普段は話し相手になってくれる土産屋の店員たちも今だけはずっとというわけにもいかないようで、話し相手の誰も居ない、海も見えない、騒音と排気ガスに満たされたその場所で、あーつまんねぇ旧正月つまんねぇー、と日本語で喚いてみても虚しさが募るばかりの2月の始まり____。