"気儘"の憂い

拝啓。
こちらはようやく魔の旧正月ウィークも終わり、島のビーチもようやくいつもの静けさを取り戻し、ゆっくりではありますが日毎に透明度を戻してゆく海のその波の音が常に聞こえるその場所で、昼はマレー語の話せる日本人として客寄せパンダ的な匂いを醸しつつ客を引いたり、


相変わらず子供達と遊んだり、


夜はオンボロギター片手に海岸に面したベンチに腰掛け、島の仲間たちや観光客相手に唄ったり、それはそれは日本で寒風吹きすさぶ中を職場に向かわれる皆様からすれば、なんともまぁ気ままな日々を送っていると思われても仕方無いのですけれど、いえいえ、気ままは気ままなりにいろいろございまして、ボート屋の客引きにおいても、なにぶん、日本語が流暢なデーブスペクターの如く、もう今では誰も喜んでくれないほど発達し過ぎたマレー語に比べ、拙すぎる英会話力というアンバランスな能力に加え、こと相手が美人な欧米人だと、幼稚園児並の言葉がさらにシドロモドロになり、


結局は他のスタッフに説明させて、自分はボート屋の隣の屋台に逃げ、其処でトウモロコシを焼いたりするも、


また其処でも「焼き過ぎ」という苦笑いを含んだ店の主人の言葉に、結局は役立たずの1日の背中の向こう、水平線に沈む夕陽が日焼けしたうなじ辺りに沁みる此処パンコール島からアナタに愛を込めて、今夜も海岸通りでたくさん唄ったこのボサボサ頭に免じて許してください、かしこ___。