オカマ時々微熱のち体調不良

まったく不本意ではあるけれど、子供とオカマにだけはモテるという日々の中、毎晩、ボクのホテルと部屋番号を仲間に問うているオカマ旅行者の魔の手から逃れるべく、午前中に島を出た。

というのは冗談で、ホテルのパパに買い物に誘われたためだが、午前中に島を出て夕方には島に帰って来るまでのその殆どの時間を、パパの本土での副業のひとつである賃貸物件の工事材料購入に割かれ、
次々に資材店を巡るその度に、ボクはパパの運転するベンツの側で待つか、買いもしない資材を見て回るかして時間を潰す。
なるほど、パパは金持ちだ。本土に滅多に使いもしない豪邸を持ち、子供達にも島と本土に家を買い与えても尚、「金はもう十分だ。」というだけの事はある。だったらボクの宿代ぐらいタダにしてくれよと言いたいところだが、せいぜいAEONの馬鹿高いカルボナーラスパゲティをご馳走してくれる迄が、金持ちが金持ちたる所以なので、ボクも「有難う。」と言いつつ、ついでにこれまたバカ高いコーヒーシェイクを追加注文したりする。

本土の蒸し暑い熱気の中で待たされ続けたのが弾き金になったのか、島に戻った頃には、今迄の疲れが一気に出たかのように体調を崩し、一旦海岸には出たもののすぐに宿に戻り、晩飯も食べずに寝た。

午後9時過ぎ。目を覚ました後、薬を飲む為、作り置いていた麦茶を取りに部屋のドアを開けると、すぐ目の前のレストランの片隅で年老いたドイツ人の旦那と食事をしている例のオカマと目が合う。ホテルどころか部屋の入り口までバレた瞬間。お互いニコリと笑顔の挨拶を交わしたけれど、彼、いや彼女の笑顔が何処か「してやったり」的に見えたのは、こちらの体調が悪いせいだけだろうか。
今夜は下半身も含めて戸締りをしっかりして寝よう____。