片付けの手を止める時

かつて大切なモノを入れておいたはずのその秘密の箱。
他人から見れば本当に下らない物だったり、見る人から見れば「捨ててしまえ!」とお叱りを受けるであろう物だったり。いや、見せないよ秘密の箱だもの、誰にも見せない。
ただ、今になってその箱の蓋を取って内側を見ても中身は無く、あらら何処に消えてしまったの?と辺りを窺うものの、中身の方から勝手に消えるなどという事はまず無いはずなので、きっと自分が捨ててしまったに違いない、捨てた覚えはないのだけれど。

大切だったのにと言う言葉にすら説得力はなく、そもそも大切な物は最初からなくしたりはしないだろうバカ、と己を諭し、蓋を開けるまでそれがただの空き箱だったと気づかなかったその秘密の箱に、これから新たに入れる予定の物も無いというのなら、それはただの箱のカタチをしたゴミである。

自室の片付けを少しずつ済ませているボクの傍らで惚けた者のようにその口を開けた、かつては素敵なパンドラの箱だった空き箱のお話__。