ソファの上から

自分がもし動物園の動物なら、客に「アイツ全然動かんし、つまんねぇ。」と、きっと檻の前は閑散としているに違い無いと思うくらい、昨日からこちら、ほとんどリビングのソファの上から動いていない有り様。交互に襲ってくる倦怠感と眠気に今日は頭痛まで加わり、スイッチの付いていない電気毛布を纏ったまま、眠って目が覚めまた眠りの繰り返し。

煌々と明かりのついたリビングのソファの上。つけっぱなしのTVの音声が飛び込んで来る寸前の耳元でささやいたアナタの声も、どうやら先ほどまで自分が居た脈絡の無い夢の世界の出来事だと自覚するのに、ずいぶんと時間がかかった真夜中。
TVを消し、ソファの上で仰向けになったまま目を閉じ、アナタのささやいた声のしたその夢の出口から脈絡の無い物語を逆に辿りながら、現実の記憶と擦り合わせてゆくけれど、肝心の現実の記憶の方が思い出せない事の方が多く、それはまるで岩に刻んだはずの文字が長い年月の中で風雨にさらされ消えてゆくかのようで、緩やかにでも確実に進んでゆくこの道の先に、きっといつかアナタの声も顔もそして名前すら思い出せない白痴の自分が居るのだろう。

ま、その時はどうぞにこやかに「初めまして。」と優しい声でもかけてくれたまえ。
ボクもきっとアナタと初めて逢った時と同じ笑顔で笑うだろうから___。

日記