親不孝とカマキリ

「死んで35年も経ったら、アタシももうお暇をもろーてもえい頃やと思うけんどねぇ。」

季節外れのポカポカ陽気を含んだ陽射しがが山の斜面を照らす朝。
35年前の今日と同じ日に急逝した旦那の思い出を語りながら、墓前で雑草をむしる母の背中は年々小さくなる。

「息子ら二人が早く一人前に成るように見守っちゃって下さいね。」

雑草を抜き終え、墓に線香を手向け手を合わせる小ちゃな母に、この歳になってもそんな事を言わせる親不孝者の傍で、雑草の寝床を無くしたカマキリが笑う立冬_____。