我慢を覚えて失くしたモノ

帰省しても解消されぬ睡眠不足のせいで、昼間から父の仏壇の前で横になりながらも、薄目を開けて見守るその視線の先。
先ほどまであれほど元気によろけながら部屋中を走り回っていたにもかかわらず、自分用の小さな椅子の手摺りに掴まり立ちをしたまま微動だにしない甥っ子サード(1歳7ヶ月)は、少しだけその小ちゃな眉間に皺を寄せ、何処を見ているわけでもないその視線を、寝たふりをしているコチラの存在を多少は気にはしながらも、まるで何かに想いを馳せる哲学者のように空中の一点をみつめながら、時折、鼻の奥でフゥーンという微かな唸り声を立て、その度に椅子の手摺りを握るその小ちゃな両手にグゥッとさらに力を込めている。

暫くして、こちらにまで一種の達成感というか安堵感が伝わるぐらいのそれはそれは深いため息を彼がつくまでの、まるで独り芝居の中の一幕のような光景を、薄目で存分に見た後、彼を驚かせぬようゆっくり起き上がり、彼の小さな手を曳き、達成感ゆえか既に無抵抗なレジスタンスのようにおとなしく風呂場まで連行された彼の、尻の部分がモコモコに膨らんだズボンを脱がせ、同じく膨らんだ紙オムツを剥がし、お湯で湿らせたタオルで彼のスベスベの尻やら股間やらに付着した物を綺麗に取り除きながら、立ってするのはそんなに気持ちの良いものか、伯父さんはもう久しくしていないので試しに今度してみようと思うが、それにはまず大人用の紙オムツが必要だと、コチラになすがままにされながらも、まださっきまでの余韻を楽しんでいるかのような彼の瞳に語りかける雨の日曜日____。

日記