妄想船長

日なたは暖かいけれど高層ビルの影は肌寒く、その両方を「あったけー。つめてー。」などと交互に楽しみながら、国際免許更新の為に午前中に出向いた都庁からビルの森を縫うように新宿駅の方へ歩き、大ガードをくぐった所で宝くじを買い、その当たりそうも無い番号のくじを舌打ちしながら懐に仕舞い、化粧の剥がれた昼の歌舞伎町の脇をなぞるように歩いて目的の釣り具屋へ。

パンコール島の友人に頼まれたリールと餌木(イカ釣り用ルアー)を買いに来たのだけれど、平日の昼前という事もあり閑散とした店内で独り、用も無いコーナーの隅々まで見回りながら、妄想の中で釣り上げた大物と、これまた妄想の中の翌日のほど良い筋肉痛に胸躍らせる、懐の中のその当たりそうも無い番号の宝くじが当たったら、まず船を買いそうな勢いの妄想船長の金曜日____。

日記