しなやかな人

アナタが居ない生活にもみんなだんだんと慣れてきてはいるものの、やはり心の何処かで、もしも今でもアナタが居ればさらに楽しいんだろうなと思う事が、特に独りの時間を持て余し気味のボクなんかは思うわけで、明日から再び南へ旅立つボクが諸事情でスーツケースに入れた年越し蕎麦を独りきりで食べる羽目になったのもきっと、「アンタ、ボクを置いて行く気かい? 死んだら化けて祟ってやるからね。」と、芝居掛かった斜め目線で言った後に必ず温かい笑顔をくれたアナタが仕掛けた悪戯だと思うわけで。

アナタのように人と人を紡げるようになるのは、未熟なボクにはまだまだずっと先のような気がしてならないけれど、とりあえずあの日の約束通り、いずれまたアナタに出逢えるその日まで、なるべく笑って、そしてなるべく笑わせていますよ。アナタの足もとには及ばないまでも。

立ち上る線香の煙の向こうの笑顔に誓う、今日はしなやかな人の3回目の命日____。