その旗と共に

遠きを見る。
其処には今も風になびく一本の旗があり、その旗には昔の自分が画いた様々な模様が、今ではすっかり色褪せたようにボクの目には映るけれど、それを見ているこちらには何の後悔も無い。ある時から自分の意思でその旗をさらに遠くに置いたのだ。誰の手垢も自身の手垢も付かぬその場所に。
昔ならその自身が描いた旗を時折睨みつけたりもしたけれど、今はただ涼しい眼差しをもって見ていられるその遠き旗。

やがてはその旗もこの肉体も朽ち果てる。どちらが先かはさほど重要でもない。
こんな我が儘な男を黙って見守ってくれる家族、仲間、そしてボクの創った歌に笑顔を見せてくれるアナタにかまってもらえる事に感謝しつつ、ボクはたぶん明日からもこうして涼しい笑みで、その遠き旗を見ながら、今までと変わらず目の前で起こる物事ひとつひとつを、小芝居がかった胡散臭さをもって片付けてゆく。

これがボクの枯れ方____。

日記