誘惑耐性0

昼前。
木曜日からの沖縄"オレ夏"に向けて、今回発送する為の機材の荷造りの最中、必要な物が足りず、荷造りの手を止め街に出る。昨日からの雨が一旦小休止し、それでも今にも雨粒が落ちてきそうな雨雲が立ちこめる空模様の新宿の大通りを独り歩く。
人間のあらゆ欲望を"金さえ払えば"満たしてくれるこの街は、自分のような誘惑に負けやすい愚か者にとっては危険過ぎる。つい先日も、某楽器店で友人Fと高価なアコースティックギターの説明を店員に受けながら、「触ったら買ってしまうまもしれんし試奏はせんで。」と、自分自身に言い聞かせるように言ったばかり。
なので今日はすれ違う可愛い子にも周りの店にも脇目を振らず、ただただ前を歩くやけに刈り上げのキツい中国人観光客の後頭部だけをみつめながら目的の店まで歩く。

そこまでしてもまだ自身を信用していないので敢えて地下街に降りて通路を歩く。新宿の地下街は飲食店や若い女性が喜びそうな婦人服販売店がほとんどなので安心して余所見しながら歩ける。男に生まれて良かった。

必要な物だけを買った後、今来た道を戻る途中、"夏のクリアランスセール"の文字にも、入り口に立つ博奕屋店員の作り笑顔にも負けなかったのだけれど、最後の最後に冨士そばの"もり蕎麦とミニひれカツ丼セット"の誘惑にはどうしても勝てず、蕎麦湯を足した蕎麦つゆを呑みながら、ガラス越しに人の居ないユンボが斜めに佇むビルの解体現場を眺める日曜日____。