すべては島の子ども達の為にー前半ー

昨日の快晴が嘘のような悪天候に朝から見舞われる。
本番前の午後6時半、車から降りるのも躊躇するくらい強い雨と風が不定期で襲ってくる祭り会場のステージ脇の実行委員会テントの下で、テーブルの上に置かれたブック型パソコンの画面上の数分間隔で更新し続ける雨雲レーダーを睨み続けるスタッフとボク。
「こりゃもうじき凄いのがやって来るね。さて、どうしたもんかね。」と、スタッフたちが祭りの続行か中止かを検討する中、そんな言葉を聞かないフリして、本番のステージへと駆け上る。

大型テントで覆われたステージ正面から強風に運ばれた雨が自分とギターを濡らしてゆく中、こんな状況でも帰る事なく雨に濡れながら聴いてくれるみんなが少しでも楽しめるように、ボクからすれば高い一張羅のギターや機材が濡れてゆくのはちょっぴり哀しいけれど、それはそれこれはこれ、みんなと遊ぶ為に本気で唄って本気で戯けるよ。

そんな気持ちが伝わったかどうかは定かではないけれど、少しずつステージ前に歌詞の意味さえ解らぬ島の子ども達が集まり始めた、その矢先にまさかの電源ダウン。スピーカーから出ていたすべての音が無くなった瞬間、戸惑いを隠しきれず今回サポートメンバーとして参加してくれたGu.冨士の方を振り向くと、「唄い続けんかいっボケッ!!」とばかりに弾き続けている。
嗚呼、大昔、『興味の無い人を振り向かせる練習』と称して渋谷の道端で二人でこんな事したね。マイクもアンプも使わず、缶コーヒー飲みながら地べたに座って。道行く人たちが立ち止まってアンコールくれた時は「いや、これ練習なんで。ボクらスタジオ借りる金無いんで。」とか照れ隠しで笑ったりして。で、その本番の大型レストランのステージでは、振り向かせる練習が功を奏して大盛り上がりの末、終演後に支配人に呼ばれ「ツアーバス客は時間制なんだから、食事する客の手を止めちゃダメだから、空気みたいな存在で演って。」って怒られたね。

冨士がかき鳴らすギターに背中押され生ギターで熱唱するそのステージ前には、次から次へと知った顔を始めとするお客さんたちが、雨除けのテント席から出て来て心強い声援をこちらに送ってくれたり一緒にサビの部分を唄ってくれたり沖縄独特の指笛の合いの手が入ったり。笑って笑って、なんくるないさー(いーやさーさ!)。規模も肌の色もまったく違うけれどなんだかウッドストックみたいで気持ち良いね。本当にありがとうねみんな。

電源復旧次第、すぐに次の曲やるからね。中止になんかさせんよ。この後の島の若者たちのバンドも最後の花火も、島の子ども達は楽しみにしてるんだからよー_______(後半に続く)。