バ○とあせもとラグマット

「家具類はアンタのセンスに任せたからね。」

上京前におっしゃっていた四国の御仁・バカマツの宮様が本日上京され、訪れた我が家にて、数日かけてボクがあらかじめ決めておいた家具のひとつひとつに「これはダメ。頭ぶつけたら死んじゃう。」だとか「ボクはお尻に汗をかきやすいからこれもダメ。」だとか難癖をおつけになられ、結局はそのひとつひとつを本人が最初から選び直したのだよ。

テーブルの角に頭をぶつけたり、お尻に汗疹が出来るのは何もヨチヨチ歩きを始めたばかりの赤子に限っての話ではなく、齢70にもなるこの御方には実際起こりうるという事をボクを始めとする仲間内の誰もが理解しているだけに反対も出来ず、今はただ、唯一本人のお許しが出たラグマットと、もうすでにボクが購入してしまっていたローチェストのふたつだけが、これからバカマツの宮様がお住まいになる部屋で少しでもセンスを醸し出してくれる事を願うばかりである。

そのラグマットも最初は「ボク、この端に躓いて転んじゃうよ。」と文句をつけたそばから、「あっち(四国)からムートン(羊の毛皮)の敷物も送ったの、毛が長くてフッサフサのヤツ、二枚も。あったかいんだよー。」と、赤子のような満面の笑みをもって抜かしやがるので、ラグマットの端につまづくよりも、スベッスベの床に敷かれたそのムートンの上でズリッてなって転ぶ確率の方がはるかに高いという心配をこの御方はしないのだろうか、嗚呼そうか、この御方は残念な事に馬鹿だった、馬鹿に本気で腹を立てても仕方ない、そう言えばこの御方の親友でもあり新宿2丁目のオカマスターだったあの人は最期の最期までとても忍耐強い人だったな、と改めて故人の偉大さを思い知る日曜日の昼下がり___。