1週間ぐらいのズレならセーフだセーフ

カズノコが大好きなのはボクに始まったわけではなく、我が父にとっても大好物だったわけで。
年末の家族旅行の際に車のトランクに発泡スチロール一杯のカズノコを積み、現地に着いた時にはその全てが車の熱で腐っていて、おおいに落ち込んだ父の間抜けぶりや、ある晩の夕食時、父の分のカズノコを一切れ頂こうとしたまだ小学生の我が息子を本気で怒鳴りつけた大人気の無い父の様子を、父の顔も声も知らぬ二代目に身振り手振りで熱弁する息子は息子で、やっぱり大好物のカズノコを自分以外には一切れも分け与える事もせずポリポリと頬張る、あの親にしてこの子ありな先週土曜。
まさしくその日が亡き父の命日だった事なんぞすっかり忘れたまま。

あれだけ父のカズノコにまつわるエピソードを話したにもかかわらず肝心の命日だという事を思い出さなかった自分は本当に若年性痴呆症が始まってしまったのかと愕然とするも、いやいや、大切なのは『日』などではなく、死んだ人間生きている人間の区別なく、日々自然にこうして思い出すという事こそ大事なのだよ、と瀬戸内寂聴みたいな境地なので、記念日を大切にする女子からはまったく人気が無い____。

日記