代打 de Go!!

「日曜日、急遽もう1曲ステージに上がって。今から○○○の歌とフリを覚えてくれる?」

そんな連絡が携帯に入ったのがつい2時間前の事。
事のいきさつはこうで、日曜日に予定される『ワイルド音楽祭エクストラ』のプログラムのひとつに『つのだ☆ひろプロデュースVocal Show Case』というのがあって、その中の1曲を唄うはずの生徒がご病気をされたそうで、今までのリハーサルにも一切出られず、日曜の本番もその生徒の体調次第ではあるにせよ、出演が危ういとの事。つまりはその為のバックアップ要員なのだよ。
「あー、たぶん昭和なアイドル楽曲と昭和な振付が恥ずかしくて逃げ出しやがったなクソガキめ」と内心思ったけれど、それは口には出さず。

「とりあえず、やるだけの事はやってみます」と返事をしたものの、いやいや、こっちはこっちで自分の受け持つ曲のハモりだとかギターだとかただでさえ慣れぬ事を今まさに懸命に自主練習中だと言うのに、今から新しい事を1から覚えろとな!? この脳みそもすっかり硬くなったオッサンに!? しかも出演するかさえも未定なのに!?

想像してみ?
例えば、試合に出られるかも分からないベテラン選手が黙々とダッシュを繰り返している姿を。もっと解りやすく言うと、本番2日前に体調を崩した新人の子の代役を急遽頼まれ、吹き矢だとか天狗のお面だとかの小道具を掻き分けながら大急ぎで新しい技を練習するその陰毛に白髪の数本もチラホラ交じり始めたベテランストリッパーの姿を。どんなプロの世界にも涙ぐましい物語があるのだよ。

ま、現実的には、自分で作った曲の歌詞も忘れがちな30年目のやさぐれたオッサンが、残された僅かな時間の中で、どれだけ昭和アイドルに寄せてゆけるかは甚だ疑問ではあるけれど、出来る限りの事はしてやろーぢゃないか!!

で、まずは脱毛からかね?_____。