仲良しが一番さ

故人の墓参りを終え、仲間達と別れ、再び独りで長野を北上。
長野駅傍に宿を取ったのだけれど、1泊17,500円の宿泊料金をカードで切りながら 「マレーシアでも伊平屋島でも一度もこんな高い宿に泊まった事ないのに・・・。」としょぼくれながらチェックインした部屋で、とうとう降り始めた雨に濡れ てゆく長野駅前ロータリーを見下ろしながら、ビニール傘を買うのにも躊躇する悲しきお財布事情。

夜、止みそうもない雨に舌打ちを打ちながら宿を出て近くの百貨店に入り「一番安い折りたたみ傘を下さい。」と言って購入したその傘を広げて長野駅まで戻り、そ こから電車に乗って友人の店に向かった。今の時代、携帯の地図アプリのおかげで迷子にこそならないので迷子マニアの自分としては多少の物足りなさを感じな がらも、長野市自体が初めてな上に、友人の店にも初めて行くわけで、まるで幼子が初めてお使いに出掛ける時のようなドキドキは楽しめている。その証拠に、 乗降時に手動で開けるローカル線のドアや、その下に書かれた「↑あつい!:冬季間はドアレールにヒーターが入りますので注意してください」の注意書きに、 おおっ長野だ、此処はやっぱり長野だ、と独り静かに座席に座りながらも内心は小躍りしている。

電車を降り地図アプリを頼りに友人夫婦の店 に到着。週末という事もあり賑わいを見せる店内に、マレーシア・パンコール島以来の再会をゆっくり喜び合う暇もなく忙しそうに調理をする2人に促され座っ たカウンター席で独り、お任せで出される料理も飲み物もどれもお世辞抜きで美味しくて、時折、カウンター隣のお客さんたちの「これ美味しいわー。」という 言葉を耳の隅っこで聞く度に、料理の出来ない自分までもなんだか「どんなもんだい」と鼻高々に成ってしまう不思議。

全てのお客さんが帰った閉店後の店内で、3人で乾杯をして、何を話すと言うわけでもなく、ただただ仲良しな友人夫婦のその空気の中にチョコンと居られる喜びに終電ギリギリまで浸らせて貰ったとってもとっても幸せな時間___。