パブロフの犬の如く

【条件反射】
___動物において、訓練や経験によって後天的に獲得される反射行動のこと。
(Wikipediaより引用)

どうも自分は、こんなふうに急に気温が下がると、自ずと旅の支度を始めてしまうらしい。といって先立つモノがあるわけでも無く、正直ワクワクやドキドキといった感情も最後の恋心と一緒に何処かへ置き忘れたままなのだけれど、そんな心と裏腹に身体だけは元来の怠け者に似つかわしくなく、それはそれはテキパキと行動するようで。

というわけで先日、まだ渡航時期も期間も何も決めていないのに、10年前に更新したパスポートの再更新を済ませ、ついでに国際免許証の更新も済ませたのだよ。

これまでの10年間、いかにも「なんかしでかしそうな」怪しい口髭を蓄えたパスポート写真に加え、日本とマレーシアの出入国を記録した数多くのスタンプだけを見れば、ボクの素性を知らない人からすれば不審人物に見えるのも仕方の無い話なわけで、過去にN.Yの空港では「なんでこんなにイスラム圏ばかりなんだ?」と入国審査官から聞かれたので、「友達がたくさんいるから会いに行っているだけ。」とバカ正直に答えたらその後15分放置されるという嫌がらせを受け、当のマレーシアでも入国時に「なんで毎年来ているの? ひょっとして仕事じゃないの? 」と不審がられ、日本に帰国する度に税関では「怪しい物は持ってませんよね?」と尋ねられるのにも慣れてしまった今日この頃。

いくら髭を剃ろうが無柄の服を着ようが前髪をおろして出来るだけ可愛く見せようが人相の悪さは消せない事だけは解った、そんな顔写真が貼られた新しいパスポートを手に、これからの10年間も、マレーシアの入国審査官の前で「友達に会いに来たんだよ。」と胸を張って馬鹿正直に答えてゆこうと思う。
カウンター越しに見えない尻尾をブンブン振りながら____。