鼻水家族

急に寒くなったりと思ったらまた暖かくなったりで、ただでさえ体調を崩しがちな季節なのに、それに加え、先月から保育園に通い始めた娘(1歳1ヶ月)が、否応無しに風邪を貰ってきてはうつしてくれるおかげで、ひとつ治ったと思ったらまた喉が痛い痰が絡む咳が出るの繰り返しの中、長野の知り合いの店で開かれる周年記念ライブの用意をしている今日この頃。

娘の為に買ったハンディタイプの『鼻水吸引器』が吸い出す量よりも、その小さい鼻の穴から「これでもか」と出る鼻水の量が圧倒的過ぎて、ハンディタイプはもはや過去の遺物となり、コンセント差し込み型のちょっと本格的な『鼻水吸引器』を1ヶ月ばかり出しっぱなしで毎日何回も使用し、「嗚呼、やっと治ったねよかったね」とようやく箱にしまった2日後には、またネバネバの鼻水が付いた上唇を舌でペロペロなめながら娘が「だーー」とその身をこちらに投げ出してくるので、ボクの部屋着の彼方此方は彼女がくれた乾いた鼻水でカピカピなわけで。

普通、幼児は鼻水吸引器を嫌がるもの。
娘も最初の数回は顔を振って抵抗していたのだけれど、吸引器の空き箱に載るニコニコ顔で金髪白人の母親に吸引されている、白人特有の目がクリクリッとした『これぞモデル』の赤児を指さし「ほーら、こんな赤ちゃんでもニッコニコで上手に出来るのに」と何度か騙しているうちに、「目がクリクリッとした愛くるしい赤児」に負けたくなかったのか、その小さな目を思いっきり開けて吸引器に自分の鼻をソロリソロリと近づけてくるようになり、今では空き箱の写真を見せなくても、自分から鼻を近づけてくる。もちろん、途中で逃げ出そうともするけれど、その都度、「あれー? あの赤ちゃんは上手に出来るのに」と再びライバル心に火をつけてやると、プイッと向こう側に向けていた鼻の穴を恐る恐るこちらに差し出してくる。オマエはいったい何と闘っているのだ? 風邪と闘え風邪と。と、心の中では思いながらも、上手に出来た後は、当の娘がウザがるほど褒めて褒めて褒めちぎるのだよ。

で、丁度自分も鼻の奥で鼻水がジュルジュルしっぱなしなので、スッキリした様子でキッチンの方にヨタヨタと歩いてゆく娘の背を眺めながら、試しに自分の鼻の穴に突っ込んでみたら。
___痛い。
鼻の粘膜にあたると大人でもちょっと痛い。これを我慢してまで、自分から鼻の穴をこちらに差し出す娘1歳1ヶ月の健気さに感服しながら、鼻の穴に吸引器を突っ込んだまま、ガーーーとモーター音を轟かす吸引器本体のつまみをそっと「弱」側に捻る根性なしの休日____。