後悔重ねて父に成る

____もうかれこれ1ヶ月ほど前の出来事。
在宅勤務でも鬼のように忙しい2代目を残し、娘1歳7ヶ月と散歩に出掛けようと、彼女の手を引き、リビングと階段の間に設置してある幼児ガードを開け、さて階段は抱っこで、おっとその前に口もとのマスクの歪みを直そうと、娘の手を放した。ボクからの自由を得た娘は階段の一番上の縁(ヘリ)に真横に腰駆けて、拙い口調で「お馬の親子は・・・」と鼻歌のリズムに合わせて自ら身体を左右に大きく揺すった直ぐ後、2小節も唄いきらないうちに、その身体がボクと反対側、つまり階下の方へフワッと浮いたかのように見えたその直後、ズダン、ズゴン、ズダン、ダンダンと、まるで映画『蒲田行進曲』の階段落ちのヤスを思い起こさせるかのように、それはそれは見事に階段から転げ落ちていった。
落ちてゆくヤス、違った、娘の名前を大声で連呼しながら慌てて追いかけるも、娘の落下速度に間に合うわけもなし。狭い回り階段の途中で止まった瞬間、大きな鳴き声を上げる娘を抱きかかえて再び2階のリビングへ運ぶ最中もその後も、「血は出てないか」「歯は折れてないか」「骨は折れてないか」「反応はどうか」「目は見えているか」などなど、ボクの腕の中で大声で泣きわめく娘のいろんな箇所をアタフタしながらも、ひとつひとつ丁寧に調べた結果。

頭にタンコブひとつ、顎の横に青あざひとつ、脇腹に青あざひとつ。外見は、幸いこれだけで済んでいるようだけども、まだ固く成りきっていない頭蓋骨や脳みそを始めとした内部は果たして大事ないのか心配は尽きない。
とりあえず頭に出来たタンコブを冷やしてやろうと、タオルで巻いた保冷剤を娘の頭のタンコブにあてるも、直ぐにそれをはね除けては、再び音量MAXの泣き声をあげるその声が「あんたのせいや、あんたのせいや」とボクの胸をえぐる。
かかりつけのクリニックに行くべきか電話で尋ねるも、クリニックでの対処法もやはり患部を冷やすぐらいで、あとは24時間様子を見て下さいとのこと。

翌日朝には「24時間以内は預かれません」と保育を断られ、これからの1日を予想したのだろう、ゲンナリした顔で保育園から帰ってきた2代目の脚に小猿のように絡みつきながら満面の笑みを浮かべている至って元気な娘の様子に、とりあえず安堵したのも束の間、「昨日? なにかあったの?」ぐらいのテンションではしゃぐ娘を中心に、仕事と家事で鬼のように忙しい2代目と、たまたまこの時期にパソコンの前から離れられない仕事が入っているボクは、予想通りのめまぐるしい1日を過ごしながら、娘の健康とはまた別に、「もう2度と階段から落とすまい」と心に誓ったのだよ。

____そんな出来事から約1ヶ月が経ち。
やっぱり頭を打ったせいだろうか。どうやら娘の体内では、他人よりも少しだけ勉強が出来た2代目の遺伝子よりも、他人よりも少しだけ巫山戯た事が好きなボクの遺伝子の方が活性化されたようで。
その証拠に、がに股ポーズで小さな手の甲に自分の顎を乗せたポーズをしながら、拙い口調で「あいーん」を連呼している___。