伊平屋島ハーリー2024

「ツカサにーに、ハーリーのメンバーに入れてるからさ、住所と生年月日おしえて」

【ハーリー】
大漁と航海の安全を神に祈りサバニと呼ばれる爬龍船(はりゅうせん)で競漕をする行事

伊平屋島のハーリー

「何を言っている!? バカか!?」
と、すかさず返したのには理由があり、毎夏、伊平屋村祭りの行事のひとつとして行われるハーリーをボクは観客の立場からもう何度も、島の友人たちが普段見せない必死の形相で漕いでは明後日の方向に進んでゆくのを応援している、飲み物片手に大笑いしながら。
そしてすぐにバランスを失い転覆するサバニから島の友人たちが青い青い海に投げ出されるのをもう何度も目撃している、飲み物片手に大笑いしながら。

なんとか浜辺に戻って来た友人たちの焦燥しきった笑顔をもう何度も労っている、飲み物片手に大笑いしながら。
要するに「これはこっち側で観るもので、間違ってもあっち側でやっちゃダメ」と、格闘技観戦と同じ境地に至っているのだよ。



「もう数年で還暦だぞ!? 殺す気か!?」
と言った口もとが笑っているのは、家族みたいに頼ってくれる嬉しさからなのだけれど、まだ幼い我が子にみるみる削られてゆくであろう体力と気力の残りは、翌日の6時間超にも及ぶ沖釣り大会にとっておきたいので、ここでは果てたくないし。


ここはひとつ、最後まで隠された切り札としてリザーバーに徹するか、もしくは船首でオカマに扮してスカパンクのリズムでドラを叩くっつーのはどうですかね____。

ハーリーに転覆はつきものです