椅子と空気清浄機

新型コロナによる緊急事態宣言がようやく解除になったとはいえ、まだまだ冬を待たずしての第二波・第三波のおそれもあるというのに、人という生き物は記憶の上書きをしてゆくのが得意な生き物なようで、大物コメディアンや海外の大物アーティストの死などは何処へやら。先日まで人影まばらだった大通りの舗道で信号待ちをする人の数も、自粛以前に戻ったかのようで、臆病な自分は人通りの少ない裏通りへスッと避けたりはするものの、これではいつまで経っても最寄り駅に向かう事が出来ず、打ち合わせの時刻に遅れたりしている。

当然まだ現在は旅行などでの都外への移動は「お控え下さい」なわけなのだけれども、毎年恒例の『オレ夏 沖縄・伊平屋島』の日程を一人練り直したり、その前にまず年老いた母親が心配なので帰省の日程を、リビングに寝転んだ状態でカレンダーと睨めっこしながら、「あーでも移動中に感染して、現地で他の人に感染でもさせたら大変だし」と、うーんうーんと唸る自分の脇腹に娘1歳7ヶ月が加減も無しにドカッと腰をかけて、そのままTVを見ている。
これが意外と痛かったり、時折、娘の腰のあたりから至近距離で薫ってくる排泄物の匂いに、ついつい死んだ魚の目をして吐いてしまうため息を、少しだけ開けた窓から吹いてくる夕闇の風がサササッと掃き、その度に空気清浄機のランプが赤く灯る5月末___。