雨上がりの夜に
雨上がりの夜が好きだ。
少し湿り気を残した夜の冷たい空気が、
暖房でふやけた頭を覚醒させてくれる。
光太郎さんからの依頼で、光太郎さんの知人宅へ
真夜中のパソコン出張修理に行った帰り、
代々木公園を歩いて帰って来たのだけれど。
時刻は午前3時。
世間一般に言われる「幽霊」というモノに対しては
自分はあまり恐怖感は抱かない。
そんな半透明でユラユラ揺れるオッサンより、
むしろ、この寒空の下、広大な公園の敷地内のベンチで、
一人ポツンと座っている生身の人間の方が、
素性が解らない分、怖かったりするのだよ。
犯罪者かもしれないし、男好きなレイプ魔かもしれない。
いずれにしろ、死んでいる人間よりも
生きている人間の方が、お経や念仏を唱えても
簡単に成仏してくれない分、ややこしいのだよ。
とにかく、自分は雨上がりの夜が好きだ。