お面を探す散歩の末に

再来月からの18回目のマレーシア渡航に向け、そう言えば島の子供と交わした「そんなにウルトラマンが好きなら今度ウルトラマンのマスクを持って来てやるよ。」という約束を思い出し、値段の高いマスクは無理だとしてもウルトラマンのお面程度ならあげられるし、丁度、今夜で今年最後の酉の市・三の酉が開催されている新宿花園神社なら屋台も出ているだろうしと、晩飯探しのついでにフラリと家を出た夜8時半。

神社が近づくに連れ、去年買った熊手を返しに行く人たちが目につき始め、神社に向かう人々の塊はみるみる大きくなって、屋台が並ぶ神社入り口付近の舗道からは歩くペースもグンと遅くなるほどの賑わいを見せる中、参道奥までの両脇に並ぶ屋台の一軒一軒を、イカ焼きの醤油の匂いやベビーカステラの甘い匂いに惑わされながら、いやいや、まずはお面だお面、と目的の屋台を探す。

けれど、境内中を人混みに交じってウネウネと歩くも最後まで見つける事が出来ず、熊手を買った人たちに送られる威勢の良い三本締めの掛け声が響き渡る夜の空の下で独り途方に暮れながら、せっかく来たんだから酉の市の雰囲気だけでもカメラに収めて帰ろうと、参拝客の行列が並ぶ本殿にスマホを向けてパシャリ。
「最近はお面もネット通販の時代かぁ、なんだかなぁ。」と、時代の流れに取り残されたような寂しさに晩飯を買う事すら忘れ、見世物小屋のアナウンスのおばちゃんのダミ声に背中をさすられながら、神社を後にした。

自宅へ戻り、ジャージに着替えコタツに潜り込み、しばらくして、さっき撮った写真を確認しようと寝転んだ態勢のまま覗いたスマホの画面。写真の左下の方に映り込んでいるその屋台に、嗚呼自分は本当に老いたんだ、老いたのでなければ呆けたのだと痛感した2017年11月の終わり____。

日記