家族の時間

その山肌の表面に朝陽が当たるか当たらないかの早朝。
王様の如く椅子に腰かけた甥っ子3rd(4歳)が見守る中、皆せっせと雑草を抜く。
自分が何故ここに連れてこられたのかも理解出来ていない幼い王様は、眠気で閉じそうな瞼をしばしばさせては、時折、皆の懸命な働きに背を向け、空宙に視線を漂わせながら歌を唄う。

「つーちゃんは王様やないき、サボらんとこっち来て草抜きや。」
今年中学生になり、そんなもっともな事を言う甥っ子1stに対して、「ちん毛がボーボーになってから俺に意見せい。」と大人げ無い反論と共に王様の傍を離れないボクはここでも怠け者である。

家族がこうして揃ってお喋りしながら草を抜く事が大切、と一向に父親の墓に砂利を敷こうとしない我が母親を指さしながら「この人が死んでから此処に砂利を敷くぞ、草が生える隙間もないくらいびっしりと。」と、わざと憎まれ口を叩いてみると、「そんな悲しい事言われん。」と甥っ子1stと2ndに諭された。祖母にあたる我が母親に対し普段は生意気な口をきく二人だが、うん、一応は優しい人間に育っているらしい。

父親の37回目の命日を高知で迎えた11月第1週のお話____。

日記