空と雲と人々と

食事の席にまで押さえきれない性欲を
持ち込んだかのような下品な笑みを浮かべる
中華系中年親父らが食事するその傍らで、
つまらなそうに携帯電話をいじりながら、
時おりこちらに意味深な目配せをする
若き娼婦の女の子たち。

ボクが買い物に行く度に、いちいちタイ語を
教えてくれるコンビニエンス・ストアの中年の女主人。

ボクが席につくだけで、まだ注文もしていない
アイスコーヒーを作り始めてくれる食堂の女主人。

意外とモテモテな毎日と、ホテルの清潔さに、
もっと此処に居たいとも思うのだけれど、
結局のところ、無差別テロが怖くて、
ホテルから200m四方ぐらいしか散歩もしていない。

「あー釣りしてぇなぁ。」
心地よい風が入ってくるホテルの窓のその外側で、
真っ青な空を流れてゆく白い雲たちを
ベッドに寝ころんで眺める火曜日。

部屋の壁に立てかけられた釣り竿。
そろそろマレーシアにというか、
海のある場所に戻ろうと思うのだよ。