力の無駄使い

数日前の暮れの話__________________。

二階屋の実家の台所の窓からは道の向かいの喫茶店が見える。
ある時はその窓から差し込む日差しの暖かさを感じながら、
またある時は窓の外の景色をぼんやり眺めながら、
そうやって換気扇の下でゆったりとタバコを吸うのが
甥っ子たちが実家に遊びに来た時の我が家のルールで、
丁度、風の強いその日も、換気扇の下に立つボクの背後では
甥っ子たちが「シンケンジャーごっこ」に夢中になり、
彼らからタバコ休憩をもらったボクは、
窓の向こう側で、こんな風の強い日に暮れの大掃除に勤しむ
喫茶店の若いウエイトレスの姿をぼんやりと、ホントぼんやりと
眺めながら、ゆったりとタバコを燻らせていた。

タバコを持つボクの左手首には、昨日ボクを常日頃から応援
してくれている知り合いから「これには力が入ってますから。」
と薦められ頂戴したばかりの有り難い数珠が巻かれていて、
タバコを口に近づけた時、ボクはふと何気に
「本当に力があるんやろか。」と、思いながら、
再び窓の外の景色をぼんやりと眺めていたその時、
閉めた窓の内側にも聞こえるほどの風の音がしたと同時に、
道の向かいの喫茶店の外で看板掃除をしていた若いウエイトレスの
女の子のスカートが捲れ上がった。

慌てた様子でスカートを手で押さえて建物の中に消えて
行く若いウエイトレスの様子をぼんやりと、ホントぼんやりと眺めながら、
ボクは風が吹く前と同様、再びゆっくりとタバコを口に近づけ、
ゆっくりと吸った後、ゆっくりと煙を吐きながら思った。

「水玉黒パンかぁ。____これは力があるかもしれんなぁ。」

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