ボクによく似たダッチドール

モールスが電信機を発明してから約170年。さらに言うとダイヤル式の黒電話が世に現れてからたった50年。あの頃、まったく未来の想像物でしかなかった「相手の顔を見て話せる」いわゆるテレビ電話が当たり前のように使われる、そんな科学進歩著しい今現在においても、人や物の移動・運搬手段においては数十年前からあまり変わっておらず、ドラえもんの『どこでもドア』は未だ空想上の物でしかない。
一番早いとされる飛行機でさえ、1960年頃から著しい進歩は見られず、これはやはり『物質』ゆえの壁が大きく立ちはだかっているのに他ならないのだけれど、物に関してだけ言うと、より早くその場所に物を運ぶという当初の目的よりも、人件費などを始めとする様々な理由も其処に絡み、現地生産という手段を選んだ結果、早い話がその物と同じ(善し悪しはあれど)物を、短時間でその場に出現させられるようにはなった。
現代科学で可能とされる"極めて現実的な"『どこでもドア』である。

けれどこれを『人間』に当てはめるにはかなり無理があるわけで、何故なら人には世間一般的に言うところの『魂』もしくは『心』があり、そこから派生する感情や価値観を始めとする、人間の体をハード(物質的器)とすると、そのハードには到底収まりきらないほど膨大な質量のソフトが確実に存在している。
たとえそれがすべて「脳ミソ」が生み出している一種の電気信号だとしても、それをすべて解明する事は現代の科学においては不可能だろう。

がしかし__。もしもそれが可能になったら。

もちろん、魂の伝送などという超高度な技術が可能になるとすれば、その頃にはハード的な問題は余裕でクリアされている事だろうから、離れた場所に置かれた自分のクローン人間なり高性能アンドロイドなりに、自分の『心』というデータを瞬時に移す事が可能になれば、ドラえもんの『どこでもドア』どころか、わざわざ鼻を押さないと魂が伝送されない『パーマン』だって必要ない。空間や時間軸を歪ませ移動するいわゆる『ワープ』技術の発明が先か、はたまたこちらの『魂』の伝送技術の発明の方が先か・・・。どちらも宗教的妨害により研究・開発が邪魔され、その分時間がかかってしまうだろうけれど、今から多いに楽しみでもある。

人恋しくて、かといって歌も書けぬ夜はそんな妄想にひたる冬の夜_____。

日記