雨の日とTom Waits

自分が好きなアーティストの一人に、
この世で最もウィスキーとタバコが似合う、
飲んだくれ天使「トム・ウェイツ」がいる。
今まで数多くの作品を生み出している彼だが、
好みとしては、良い感じで壊れてゆく中期以降よりも、
あの独特のシャガレ声で力強く、且つ物悲しく
歌い上げている初期の頃の作品を多く聴くのだけれど。

そんな彼の初期の頃の作品に『Tom Traubert’s Blues』
(Small Change/1976)という楽曲がある。
曲中のリフレイン部分にオーストラリアの第二国歌として
有名な「Waltzing Matilda」の旋律を引用している名曲で、
多くの彼の楽曲の中でも、特に好きな曲のひとつだ。

雨のせいでモノクロがかった窓の外の景色を
ボンヤリ見ながら、そんな30年余りも昔の曲を聴く。
___________右目から流れる涙も拭かず。

Waltzing Matilda, Waltzing Matilda,
You’ll go Waltzing Matilda with me.
ワルツィン マチルダ,ワルツィン マチルダ,
オマエはオレと一緒に行くんだね,ワルツィン マチルダ.

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※Waltzing Matilda
 各地を転々として職を探す、
 主に羊の毛を刈る労働者の持つ毛布に由来し、
 職を探す旅そのものを意味する。

「Waltzing Matilda」の歌そのものは、植民地政策全盛の
 当時、イギリスからの移民が多かったオーストラリアで、
 本国からの重税に苦しむ移民達が、本国イギリスの役人達に
 対する反骨精神や独立意識が込められている…..らしいよ。